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「大学院でアカハラ被害!教授と大学の責任を問うた裁判|110万円賠償命令【平成27年(ワ)第489号】」

目次

1. 事件の概要

本件は、国立大学法人が運営する大学院に在学していた原告(大学院生)が、指導教員であった教授(被告A)からアカデミックハラスメント(アカハラ)行為を受けたとして、教授および大学に対して損害賠償を請求した事案です。
教授からの人格を傷つける発言や、不合理な指導拒否、差別的対応等により、原告は精神的苦痛を受けたと主張しました。

2. 原告の主張

原告は、被告Aの指導行為が度重なる暴言や差別的対応などであり、単なる指導の範囲を逸脱して不法行為に該当すると主張。さらに、被告大学にはアカハラ防止義務や被害発生後の適切な対応義務(安全配慮義務)があったにもかかわらず、それを怠ったと訴えました。慰謝料額として1000万円を請求しました。

3. 被告らの反論

教授Aは、原告に対して不当な指導を行った事実はないと否定。仮に不適切な言動があったとしても、社会的に違法とはいえないと主張しました。大学側も、適切なハラスメント防止措置を講じており、安全配慮義務違反はないと反論しました。

4. 裁判所の判断

裁判所は、被告Aによる発言や指導態度の一部が、教授の裁量権を逸脱し、学生の人格権を侵害する違法なアカデミックハラスメント行為に該当すると認定。
また、被告大学についても、アカハラ防止のための研修や個別指導が不十分であったこと、被害発生後の調査や対応に遅れがあったことなどから、安全配慮義務違反を認めました。

教授個人にも大学法人にも、それぞれ損害賠償責任があるとされました。

5. 最終的な賠償額

  • 被告Aおよび被告大学は連帯して、原告に対して【110万円】の支払いを命じられました。
  • 被告大学は、さらに単独で【143万円】(うち110万円部分は重複支払)を支払うよう命じられました。
  • 合計では、原告に対して最大【143万円+遅延損害金】が支払われることとなりました。

平成27年(ワ)第489号

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