MENU

【労働判例解説】少数派組合だけ残業ゼロ?不当労働行為とされた企業の対応とは【最高裁判例】

目次

記事のポイント(要約)

  • 事故の内容
    企業内に複数の労働組合が併存する中で、少数派組合に所属する労働者だけが残業を命じられなかった。
  • 論点
    この企業の対応が「不当労働行為」(労組法7条3号)に該当するか否か。
  • 裁判結果
    最高裁は「不当労働行為にあたる」と判断。少数派組合員の残業排除は団結権の侵害と認定。

🔎判例の詳細解説(SEO対策済)

判例の背景と争点

本件は、ある自動車メーカーが合併後、社内に存在する二つの労働組合(多数派組合と少数派組合)に対して、残業の命令に差を設けたことが問題となった事案です。

  • 多数派組合員には恒常的に計画残業や休日勤務を命じていた。
  • 一方、少数派組合(支部)所属の組合員には一切残業を命じていなかった
  • 支部はこれを「不当労働行為」として都労委に救済申立て。

裁判の焦点は、

「残業を命じないという対応が、組合の弱体化を狙った不当労働行為にあたるか」 という点にありました。


最高裁の判断

最高裁は、企業側の行為が「団結権の侵害を目的とした支配介入にあたる」と判断しました。

ポイントとなる判断基準:

  1. 労使交渉の経緯と企業の対応
    • 会社は当初、少数派組合とは協議せずに勤務体制を導入。
    • 支部所属組合員を残業から一方的に排除した。
  2. 団体交渉における誠意の有無
    • 支部が交渉を申し入れても、会社側は消極的な態度。
    • 計画残業や交替制勤務に同意しない限り「残業はさせない」との一貫した姿勢をとった。
  3. 間接部門でも同様の排除
    • 計画残業とは無関係な部門でも、支部所属の労働者には残業を一切命じなかった。
    • 経済的不利益を与えることで組合の弱体化を狙ったものと推認された。

その結果、会社の対応は「差別的な取扱いであり、団結権を侵害する不当労働行為」であると認定されました。

昭和40(オ)347  損害賠償請求 昭和43年3月15日  最高裁判所第二小法廷  判決  棄却 大阪高等裁判所

シェアをお願いいたします。
  • URLをコピーしました!
目次