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【セクハラ・パワハラ裁判例】障害者支援現場で起きた職場トラブル!慰謝料は55万円に【大阪地裁判決】 平成20年(ワ)第5038号

目次

この記事のポイント

  • 知的障害者雇用現場でのセクシュアルハラスメントが認定され、会社と加害者に賠償命令
  • パワーハラスメントは認められず
  • 慰謝料と弁護士費用あわせて55万円+利息の支払いが命じられた

1. 事件の概要

本件は、知的障害者である原告が、勤務先である施設管理会社の現場責任者・被告Bからセクシュアルハラスメントを受けたとして、加害者本人及び使用者である会社に対し損害賠償を求めた事件です。
また、別の上司である被告Cによるパワーハラスメントも訴えましたが、こちらは認められませんでした。

原告は、障害者就労支援団体の紹介により就職したものの、セクハラやパワハラにより精神的苦痛を受けたと主張。最終的には休職を経て退職に至っています。


2. 原告の主張

原告は次のように主張しました。

  • 被告Bから、背後から身体を密着させられたり、腰や臀部に触れられるなどのセクシュアルハラスメントを受けた。
  • 被告Cからは、セクハラを訴えた後に、「セクハラなんてどこでもある」と怒鳴られるなどのパワハラを受けた。
  • セクハラやパワハラの結果、うつ状態となり自殺未遂を起こした。
  • 会社は十分な調査もせず対応を怠ったため、会社にも責任がある。
  • 慰謝料・治療費・弁護士費用などあわせて910万円超の支払いを求めた。

3. 被告らの反論

  • 被告Bは、原告に対して身体に触れたことは認めつつも、業務上必要な範囲の軽い接触であり、セクハラには当たらないと主張。
  • 被告Cは、パワハラ行為を全面的に否定。
  • 会社側も、原告への対応に問題はなく、賠償責任はないと争った。

4. 裁判所の判断

裁判所は、次のように判断しました。

  • 被告Bによる原告への不適切な接触行為(背後からの身体密着、腰部への接触)は認定し、セクハラにあたると判断。
  • 被告Cによるパワハラ行為は証拠不十分として認めなかった。
  • 会社は、原告からの訴えを受けたにもかかわらず、適切な調査や対応をせず、原告の人格権保護義務に違反した。
  • 自殺未遂については、以前から精神的に不安定だったことがあり、本件との因果関係は認めなかった。
  • 以上を踏まえ、被告B及び会社に対し、連帯して慰謝料など合計55万円(+利息)の支払いを命じた。

5. 最終的な賠償額

相手方金額備考
被告B + 会社(連帯)55万円セクハラによる慰謝料等
会社単独33万円会社対応の不備による慰謝料等
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