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【弁護士と依頼者トラブル】離婚訴訟の途中解任でも報酬請求は認められる?【東京地裁判決】平成12年(ワ)第16386号

ポイント3

  • 弁護士の途中辞任でも、相応の弁護士報酬50万円が認められた
  • みなし成功報酬(約467万円)の請求は認められず
  • 依頼者による反訴(損害賠償請求)は棄却
目次

1. 事件の概要

本件は、離婚訴訟を受任していた弁護士(原告)が、途中で依頼者(被告)との信頼関係破壊を理由に委任契約を解除したため、報酬を請求したものです。
一方、依頼者側は「弁護士の訴訟方針ミスや辞任の手続ミス」で精神的損害を受けたとして反訴を提起しました。

2. 原告(弁護士)の主張

弁護士側は、以下の点を主張しました。

  • 被告が離婚訴訟中に、相手方から子を奪い去るなどして信頼関係が破壊された
  • そのため契約を解除し、みなし成功報酬(467万3025円)を請求する

3. 被告(依頼者)の反論・反訴

被告側は、次のように反論しました。

  • 弁護士が訴訟方針やアドバイスに重大なミスを犯した
  • 辞任後も裁判所に辞任届を出さず、訴訟の判決もすぐに伝えなかった
  • これらにより精神的苦痛を受けたとして200万円の慰謝料を請求(反訴)

4. 裁判所の判断

東京地方裁判所は以下のように判断しました。

  • 弁護士による契約解除は相当と認めた(依頼者が弁護士の忠告を無視して不適切な行動を取ったため)
  • しかし、みなし成功報酬の請求(467万円)は認めず
  • 弁護士には訴訟活動の大部分を遂行した実績があるため、50万円の報酬請求のみ認めた
  • 依頼者の反訴(損害賠償請求)はすべて棄却

また、辞任届を出さなかった弁護士のミスは認定したものの、慰謝料が発生するほどの損害はないとされました。

5. 最終的な賠償額

  • 弁護士報酬:50万円+遅延損害金(年5%)
  • 反訴(損害賠償請求):棄却
  • 訴訟費用:原告に2割、被告に8割の負担
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