MENU

【夫の暴力があっても離婚認容】有責配偶者ではないと判断された離婚判決とは? 平成14年(ネ)第1043号

ポイント3

  • 長期間の別居と婚姻関係破綻が認められ、離婚が認容された
  • 夫の暴力が一因でも、婚姻破綻に妻側の要因も大きく影響していた
  • 慰謝料請求は認められず、費用は双方2分の1ずつ負担に
目次

1. 事件の概要

この裁判は、夫(控訴人)が妻(被控訴人)に対して、婚姻関係は既に破綻しており、継続困難な重大な事由があるとして離婚を求めたものです。
さらに、慰謝料として200万円の支払いも併せて請求しましたが、妻側は夫の有責性を理由にこれに反対しました。

2. 控訴人(夫)の主張

夫は、妻の浪費、家事・育児の怠慢、糖尿病治療への非協力などを理由に、婚姻関係が破綻していると主張。
また、長年の不満の積み重ねにより離婚を決意したと訴えました。

3. 被控訴人(妻)の反論

妻は、夫による暴力や女性関係を主な理由に、「夫は有責配偶者であり、離婚請求は許されない」と反論。
さらに、自身の病気(頸部椎間板ヘルニア)も夫の暴力によるものだと主張しました。

4. 裁判所の判断

名古屋高等裁判所は、以下のように判断しました。

  • 婚姻破綻の時期:平成7年3月13日には婚姻関係は既に破綻していたと認定。
  • 有責配偶者かどうか:夫による暴力は認定されるものの、妻の生活態度や病気による家庭放棄なども大きな破綻要因であり、破綻の責任が夫に一方的にあるとはいえない。
  • 慰謝料について:妻の行為が不法行為に該当するとはいえないため、夫からの慰謝料請求は認められない。

よって、離婚請求は認められたものの、慰謝料請求は棄却されました。

5. 最終的な賠償額

  • 離婚成立
  • 慰謝料請求:棄却
  • 訴訟費用:第1・第2審通じて、双方が2分の1ずつ負担
シェアをお願いいたします。
  • URLをコピーしました!
目次