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【協議離婚はいつ確定する?】届出直前の翻意で無効になった最高裁判例 昭和32年(オ)第508号

ポイント3

  • 離婚届を提出する直前に一方が離婚の意思を撤回した場合、協議離婚は無効になる
  • 離婚届の作成と提出は別のタイミングで判断される
  • 受理前に翻意を役所に伝えれば、離婚は成立しない
目次

1. 事件の概要

この事件は、夫婦が協議離婚届に署名・押印して作成し、一方(夫)が役所に提出したものの、提出前日に他方(妻)が役所に「受理しないでほしい」と申出をしたため、協議離婚が無効とされたケースです。
夫は離婚が成立したと主張して上告しましたが、最高裁判所は「離婚は成立していない」と判断しました。

2. 上告人(夫)の主張

上告人は、署名・押印済みの離婚届を提出した以上、協議離婚は有効であると主張しました。
たとえ妻が心変わりしていたとしても、それは届出を取り消す手続きがされない限り無効理由にならないと訴えました。

3. 被上告人(妻)の反論

被上告人は、離婚届の提出直前に、役所の係員に対して「離婚に同意していない、受理しないでほしい」と申出をしており、すでに離婚の意思を撤回していたと反論しました。
したがって、夫が提出した離婚届は無効であり、離婚も成立していないと主張しました。

4. 裁判所の判断

最高裁判所は、次のように判断しました。

  • 協議離婚は、単なる届出書の作成だけでは成立せず、「市町村長に届出が受理される時点」で両者の離婚意思が存在している必要がある。
  • 本件では、提出前日に被上告人(妻)が離婚意思を撤回し、その旨を役所の係員に伝えていたため、届出時に離婚意思が存在しなかった。
  • よって、今回の離婚届は無効であり、協議離婚は成立しない。

また、補足意見として、「届出の際に本人が離婚意思を失っていた場合、その事実を市役所に伝えていれば届出は無効になる」との考え方も示されました。

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