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【離婚届を出さない相手に訴訟できる?】神戸地裁平成13年判決から学ぶ注意点 平成13年(タ)第63号

ポイント3

  • 離婚届の提出に合意していても、届出がされない場合は訴訟に注意が必要
  • 過去の離婚訴訟の「和解」が効力を持つかが争点に
  • 二重訴訟禁止の原則により、訴えが却下されるリスクがある
目次

1. 事件の概要

この事件は、夫婦で離婚届を出すことに合意し、署名・押印済みの離婚届を交付したにもかかわらず、被告(妻)が届出をしなかったため、原告(夫)が改めて離婚訴訟を提起した事案です。
原告は「もはや婚姻関係は破綻している」と主張し、離婚と子どもの親権について裁判を求めました。

2. 原告の主張

原告は、すでに別居期間が長く、過去の裁判で離婚が認められたうえ、さらに離婚届の提出にも合意していたため、「婚姻を継続しがたい重大な理由」があると訴えました。
また、離婚届を渡したにもかかわらず被告が届出をしないため、裁判所に離婚の判決を求めたのです。

3. 被告の反論

被告側は、原告が過去の裁判で「不貞行為を行った有責配偶者」と認定されたことを根拠に、「有責配偶者からの離婚請求は認められない」と反論しました。
また、もし原告が過去の和解内容に問題があると主張するなら、それは別途、大阪高等裁判所に期日指定の申立てをすべきであり、今回の新たな訴訟は許されないと主張しました。

4. 裁判所の判断

神戸地方裁判所は、次のように判断しました。

  • 過去の離婚訴訟で成立した和解は、「離婚届が受理されなければ無効になる」という解除条件付きだった。
  • 被告が離婚届を提出せず、もはや届出の見込みがない以上、和解の効力は消滅している。
  • しかし、この場合は前の訴訟で期日指定の申立を行うべきであり、新たな別訴(今回の訴訟)を提起することは許されない。

結果として、「本件訴えは重複訴訟の禁止(民事訴訟法142条)に反するため不適法である」とされ、却下されました。

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