【事故の内容】
北海道苫小牧市の丁字路交差点で、大型トラックが右折中、直進してきた白バイと衝突し、警察官が死亡する事故が発生。
【論点】
・被告人(トラック運転手)は、前方確認義務を十分に果たしていたか?
・白バイが法定速度を大幅に超過していた場合でも、予見義務や回避義務は生じるか?
【裁判結果】
控訴棄却。高裁は「被告人に予見・回避の義務があった」とし、原判決(有罪)を支持。
目次
事故の詳細と判決
■事故の背景
2021年9月13日午前8時52分頃、大型トラックが交通整理のない交差点で右折しようとしたところ、直進してきた白バイと衝突。白バイの警察官(32歳)が死亡した。
■現場の状況
- 交差点は信号がなく、見通しの良い直線道路。
- トラックは長さ11.5mの大型車で、内小回りで右折。
- 白バイは法定速度(60km/h)を大きく超える118km/hで走行していた。
■被告人の主張
「遠くに影のようなものは見えたが、それが白バイだとは思わなかった」「法定速度を大幅に超えていた白バイの存在は予見できなかった」として無罪を主張。
■裁判所の判断
高裁は、以下の点から被告人に過失があると判断:
- 見通しの良い道路状況で、通常より速い対向車の存在も予測できた。
- 右折の際、被害車両の存在と距離を確認し、衝突しないように進行すべきだった。
- 「影が見えた」という供述も曖昧で信用性に欠ける。
■判決のポイント
- 予見可能性:60km/hを基準に+20km程度の速度で走る対向車の存在は予測すべきだった。
- 回避可能性:右折を控えるか、一旦停止して確認すれば回避できた。
- 運転方法の問題:通常とは異なる「内小回り右折」により、対向車線を大きく塞いだことが重大な過失とされた。
令和6(う)155 過失運転致死
令和7年2月20日 札幌高等裁判所 棄却 札幌地方裁判所