事故の内容
飲酒状態で自動車を運転した被告人が、深夜に車椅子の高齢者をはねて死亡させ、事故後に現場から逃走。
争点
・酒気帯び運転の程度と運転への影響
・衝突時に人だと気づいていたか
・事故後の対応(逃走・報告義務違反)
裁判の結論
被告人に懲役3年の実刑判決。悪質性が高く、示談や反省があっても執行猶予はつかず。
目次
判例の内容をわかりやすく解説
事件の概要
2024年11月10日深夜、山口市内で飲酒後に自家用車を運転していた被告人が、車椅子に乗った73歳の高齢者に衝突。そのまま河川敷へ転落させ死亡させた。事故後、被告人は現場から逃走し、自宅に戻り4時間以上アルコールの抜けを待ってから出頭。
裁判所の判断と理由
飲酒の影響と運転行為
- 被告人は事故の5時間前まで飲酒しており、事故当時も体内に高濃度のアルコールが残っていた(呼気1L中約0.69mg)
- 指定速度30km/hの道路を約60km/hで走行
- 前方の確認を怠るなど、運転行為は非常に危険だった
被告人の認識と逃走行為
- 被告人は「人に当たったと気づかなかった」と弁解
- しかし、車の損傷や音、部品の飛散などから「人にぶつかったかもしれない」という認識はあったと裁判所は判断
- にもかかわらず、通報も救助もせずに自宅に戻った点を「極めて自己中心的」と断じた
量刑判断のポイント
- 示談成立・遺族の寛大な意見・反省の姿勢など、被告人にとって有利な事情は多数
- それでも事故の悪質性・死亡という重大な結果を重く見て、懲役3年の実刑判決となった
令和6(わ)167 過失運転致死アルコール等影響発覚免脱、道路交通法違反被告事件
令和7年3月17日 山口地方裁判所